賃貸 or 持ち家論争とは何か?
新しく仕事をはじめた、結婚した、転勤した、家族が増えた・・・
ライフイベントに伴い、検討を迫られる「今の住まいをどうするか」問題
ちまたでは、賃貸と持ち家、どっちがお得か?というのが議論されており、金銭面で考えたら持ち家だよねとか、いやいやそもそもリスクがあるし、ライフスタイルにあわせて過ごすなら賃貸の方が断然お得だよねとか言われており、結局どっちやねんとなっているのかなと。
また問題をややこしくしているのが、1990年代の不動産バブル崩壊やデフレから昨今はインフレに転換し、金利上昇や日本の人口減少、空き家問題などもある中、都内の不動産価格の高騰などもあいまって、色んな世代や価値観がいりまじっていることもあり、様々な意見が出てきてより一層複雑さを増している状況にあるのかなと。
さらに、普通のサラリーマン家庭ではそもそも借り入れをしないと購入出来ない高額な商品(不動産)を、未経験の人達が決断を迫られるという、極めて難しい意思決定である事も議論がつきない要因にもなっていると思われる。
そのため、そんな簡単に結論が出ないというか、そもそも人による所はあるから、どうすりゃええねんと思う方が多いと思うので、どのように考えて住まい方を考えるべきなのかを考えてみたい。
そもそも「住まい」に何を求めるのか?
そもそも住まいには何を求めるのだろうか。ここでは一般的なサラリーマンが、住宅に求める価値を考えてみたい。
一般的に支出は、消費、浪費、投資に分かれると思うが、賃貸であろうと不動産投資であろうと複数の意味合いでの価値を求めて、支出をしているだろう。
①消費的価値:一般的な生活必需品として、必須の費用として支払い得られる価値。最低限の生活を営める設備(トイレ、寝室、キッチン、お風呂、洗面台、セキュリティ(オートロック等) 等)。
②浪費的価値:生活していく上で必須ではなく、お金に見合ってはいない価値。手入れの負担が大きい庭付きの家、ほとんど使われない共有施設(コンシェルジュ、スパ等)、将来使う予定のない部屋(子供がいなくなった等)、通常の用途(洗濯物を干す等)以外では利用しない広いバルコニー 等。
③投資的価値:支払った額以上のリターンを得られる価値。不動産購入による値上がり益や家賃収入、 等。
一概に消費的価値だけを求めるべきだとか、浪費的価値は出来るだけ削るべきだという話ではなく、それぞれが何を重視して、支出をしているかを認識している事が重要だろう。
賃貸か、持ち家かを考えるのに何を考慮にいれるべきなのか?
どのような価値を求めるにしても、結局は賃貸がいいのか、持ち家がいいのか、どちらがいいのだろうか。これは、たぶん粒度が荒すぎて、答えようのない話になっているのは、在庫と価格で決まるため、それぞれのおかれた状況ごとに判断すべきという事だと思う。
まずはどのような状況である時に、どちらが有利なのか、主要な要素を考えたい。
①外部環境はどうか
- 金利:日銀は利上げの意向であり、今まで異次元の緩和であったため、今後は数年から十数年は値上げの傾向。つまり、不動産価格は下がる方向にはたらく。
- 日本人の人口:日本の人口は減少傾向、東京(23区でも一部)、大阪、名古屋等増加する地域は需要が増えるため+に働くが、その他地域は大幅にマイナスに働く可能性が高い。
- 住宅数:住宅のストックは年々増えており、不動産価格にはマイナスに働く可能性が高い
②ライフスタイルの変化は激しいか
- ライフスタイルの変化が少ない:一人暮らし、実家暮らしや子供を作らない夫婦の家庭等間取り等大きく変える必要のない家庭は、不動産を購入した方が金銭的メリットが出やすい。
- ライフスタイルの変化が大きい:転勤族や子持ちのご家庭、二世帯住宅など、家族のイベントで住む場所やライフスタイルを変える必要のある家庭は、変化に対応しやすい賃貸の方が金銭的メリットが出やすい。(ニーズにあう物件があるかは別の話だが、売買にあたって安くない手数料等がかかる)
③住まいに何を求めているか
- 消費的価値のみ:賃貸、持ち家でもどちらでも
- 消費+浪費的価値も望む:どちらかというと、好みを反映しやすいので持ち家
- 消費+投資的価値も必要:持ち家一択
- 全て望む:持ち家一択
④安定した資産や収入があるか
- 一定の収入を確保出来、初期費用を支払う事が出来る場合は、持ち家でも問題ない
- 一時的な費用を賄う事が出来ず、収入が安定していない場合は、持ち家は不利
⑤自身の不動産投資家としてのレベル高いか
不動産の目利きが出来るレベルであれば、持ち家はあり。不動産投資の失敗率は、いくつか不動産に関して書いている記事によって異なるが、ここでは10%程度くらいと仮定すると、ほとんどの人はあてはまらないと思われる。
どちらが自分にあっていそうか?
まず最初に、持ち家は資産になるとよく言われますが、正直購入した不動産次第で資産にも負債にもなってしまうものなのかなと思うので、あまり期待はしない方がいいかなと。その前提で、資産性についてはあまり考えず整理します。
とにかく持ち家が欲しい人、浪費として考えている人は持ち家一択なので、それ以外の方がどう考えるべきかを考えます。資産として持ち家が欲しい人もここからは当然のように外します。
■賃貸に向いている人
・金利変動リスクが取れない人
・ライフスタイルの変化が予定されている人(結婚、転勤、出産 等)
・不動産投資の知識がない人
・持ち家にこだわりがない人
・住む期間が限られている人(実家があり、将来は別の家に住む 等)
・収入や支出が不安定な人
■持ち家に向いている人
・浪費として、満足いく住環境を好む人
・金利変動リスクが取れる人(今後は高まる傾向)
・ライフスタイルの変化が少ない人(一生独身 等)
・不動産投資の知識がある人(浪費の場合は特になくても問題ないと思われる)
・持ち家であることにこだわりがある人
・収入や支出が安定している人
金銭的メリットについてですが、ぶっちゃけこれは議論出来るようで議論しづらい所はあるのかなと。同じ間取りや条件等でも、賃貸での家賃も結構異なりますし、不動産価格も結構違うので、よい賃貸物件を見つけられれば、持ち家よりもよくなるでしょうし、逆もしかりではないかと。
少なくとも、これから金利があがっていく局面ではあるため、不動産価格は下落傾向にあり、都市部等で目利きが出来る人でない限り、急いで持ち家を選ぶ必要性はない状況にあると思います。
まさに好みの問題が大きくて、どちらかというと選択肢が少なくなってしまう分、色々なリスクを抱えなければいけない持ち家の方が金銭的なリスクを負っている事は間違いない。
一方で、金利自体は世界的に見てもとても安い状況ではあるので、不動産の目利きが出来る知見があれば購入、なければやめておいた方がよいというのが率直な感想です。(不動産購入者の85%は不満を抱えているというデータもあり、何より空き家が増えているというのが、すでに自宅がいらなくなっているというのを物語っている)
私はどちらを選んでいるのか?
私は賃貸を選んでいます。
20年前弱に借りた事もありますが、比較的割安で物件を借り入れられていると思うのと、住まいをある程度我慢したとしても、その分、旅行や外食など、自分が重視する支出に充てる事が出来ているからです。
また、自身が不動産の目利きを出来ていると自信をもって言えるレベルではなく、かなりいい物件がないと買いたいとは思わないためです。物件を購入するとなると、条件をあげざるをえなくなるため、今より家賃が10~20万円アップするだけでなく、水道光熱費も数万円単位であがり、固定資産税や管理費も数万円~十数万円の単位であがり、部屋のメンテナンス(掃除等)も結構負荷で、QOLが下がる可能性すらあります。さらに一時費用として、数百万円場合によっては千万円以上の初期費用がかかり、固定資産税も数十万円かかることを考えると、その分投資にまわして20-30年寝かせた時のリターンの方が大きいと考えてしまいます。
例えば、1,000万円を10%(S&Pの平均利回りを11%くらいを下回ると仮定)、35年運用した場合、2800万円となります。
さらに運用メンテナンス費用として、計25万円/月かかると見込みます。そうすると、35年間で1億500万円となります。
賃料+管理費:+20万円/月
水道光熱費:+2万円/月(多分全然もっといく)
固定資産税:+3万円/月
また、当然のことながら、購入時の諸経費もかかります。金利(1%)もかかります。
金利:1,500万円
諸経費:500万円
※住宅ローン減税は400万円程度だと思いますが、微々たるものではあるので、割愛します。
つまり、今払っている家賃に加えて、トータルで1億4300万円の支出(機会損失の1,800万円含む)が想定されます。つまり、それだけの費用を回収出来るだけのメリットと価値をもたらさなければいけないわけです。住まいにそれだけの価値を高める事を求める事は難しく(部屋は狭いですが、今でも寝たり、食べたりする分には家族で困らないので、部屋が広くて、土日にいる時間が少し快適になるくらいの価値しか求めにくい。後は浪費的価値でベランダでBBQするとか、遊ぶとか、サウナ設置するとかそんな程度)、不動産の値上がり益を期待しようにも、目利きで失敗する確率が9割だとしたら全然割にあわず、50%でも厳しいかなと。たとえいい物件に出会えたとしても、そこまで値上がりが期待は考えられないので、とんとんの価格で推移してもー数千万円、最悪4ー5,000万円の赤字。よくても支出を上回る事はちょっと考えにくい(数十億円~数百億円の物件だったら違うかもですが)
なので自宅を変える必要はあるものの、不動産を購入する事によるメリットとリスク(悪い意味の)が釣り合っておらず、賃貸で住んでおいて、物件があふれて、金利が高くなって物件が割安になったタイミングまで待つのが得策ではないかなと。
さらに賃貸の方が柔軟性が高く、隣人問題や物件の不具合、ライフスタイルの変化等に対応しやすいので、不動産投資が出来るレベルになったとしても、賃貸の方が俄然有利な気がします。
コメント